高度 IT 人材育成システム開発事業編 成果報告書

即戦力育成のための学生向け OJT 研修(委託先:株式会社テクノクラフト)

a 目的と概要

本教育訓練事業においては、学生を、卒業前に実務に投入することにより、卒業時には即戦力として稼動できるより高度な人材をより多く育成することを目的として、教育訓練コースの開発・実証を行った。実務への投入は、技術の取得だけではなく、IT に関する基礎知識に加え、報告・ビジネスマナー・一般常識、そしてなによりも仕事に対する責任感などの習得を含んでいる。

b 実施項目

1) 教育訓練システムの開発・実証

プログラミングや設計等の技術的側面、テスト工程やプロジェクト管理等の実務的側面の技術習得に加え、ビジネスマナー、一般常識、IT リテラシーなどを含む即戦力の育成に必要な知識に関する教育訓練コースを開発し、実証を行った。

2) 教育訓練システムの評価

OJT の開始時、終了時の試験による効果測定と毎月のテストや勤務評価など、その間の取り組姿勢を当社の実績と比較し、随時評価データを収集し、設置した評価委員会で OJT の参加前と参加後の評価を客観的に行った。

6.2 教育訓練の目的別にみた教育訓練システムの要因分析

6.2.1 学生(新規就業)向け教育訓練

(1) 各実証事業の特長と課題

学生向け実務志向教育訓練システムを整理・分析し、その要因を整理する上では、そもそも「実務経験がない」ということを前提にしなければならない。このため、学生を対象に実務志向の教育を行うためには、インパクトのある方法で実務にアプローチさせることが重要である。受講者等によるアンケートやヒアリング等から得られている結果をみると、実務そのものを、いわば自律型 OJT とでもいうべき長期現場体験で実現している「テクノクラフト」、地元ベンチャーのニーズに沿ったインターンシップを計画・実施した「サン・マイクロシステムズ」、現場を知る IT サービス企業との連携により実際のソフトウェア開発プロセスを模擬したプロジェクトベースの教育訓練を実施した「公立はこだて未来大学」等が、その方法はそれぞれ異なるが、実践的な教育訓練の実現に成功している。

教育訓練の構成については、実務体験・実践型の教授方法が中核になっている公立はこだて未来大学、テクノクラフトはかなり長期の教育訓練になっているが、そもそも実務という観点からはゼロから出発すると考えてよい学生が擬似的なものとはいえ、「実務」を理解し、基礎的な実務スキルを身に付けるには、かなりの時間を費やすのはむしろ当然である。ただし、前者が、大学と IT サービス企業の関係の中で、大学向け(講義の一環)に設計されているの対し、後者は、日常的な業務の中で教育訓練を行うため、教育訓練設計という面で課題も多い。しかしながら、責任性といったプロフェッショナルとしてのコンピテンシー強化や就業意識の向上という面で、緊張感のある実業務の中での教育訓練は意義深いものであり、訓練期間や実施方法等で工夫を重ねることで新たな実務志向教育訓練モデルと成りえる可能性もある。

(2) 実務への役立ち度合い(期待を含む)(受講者アンケートから)

図 6-5 には、受講者事後アンケートにおいて、各教育訓練が「職場の仕事に役に立つか」を聞いた結果を示した。

実務経験のない学生が「職場の仕事に役に立つか」を実体的に判断するのは困難であるので、あくまで受講後の印象であることを前提とすべきではあるが、公立はこだて未来大学、立命館、福島県立会津大学、テクノクラフトが「大いに役に立つ」との回答が最も多く、慶應義塾、早稲田大学、サン・マイクロシステムズは「たぶん役に立つ」との回答最も多くなっている。公立はこだて未来大学、立命館、福島県立会津大学、テクノクラフトによる教育訓練等、IT サービスの現場のリアリティが高い内容を含む教育訓練に対し、受講者の自己評価が高いことが分かる。このことは、実務の経験のない学生に対しては、「実務とは如何なるものか」、「実務で求められるスキルとは如何なるものか」を実務の全体像が掴める形で教授し、学習することが重要であることを意味している。

高度 IT 人材育成システム開発事業編 成果報告書より引用
平成 16 年 3 月 株式会社 富士総合研究所