ホテル飯(めし)に関する考察

投稿者: | 7月 11, 2020

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ホテル飯(めし)に関する考察

ホテルでの祝宴、特に着座スタイルだと大皿のコース料理が定番だ。丸テーブルの真ん中の回転盆の上に料理を出して、皆でとるやつだ。洋食の時もあれば、和食や中華、居酒屋メニューの時もある。ひどい時は塩おにぎりが出てきた。一人一個だ。

回転盆、英語だとロータリートレイとか、レジースーザンと呼ぶ。後者は明らかに人名だ。発明者の名前でもない。語源には諸説あるらしいが、18世紀当時、スーザンはよくあるメイドの名前だったこと、レジーは怠け者とか怠惰とかトロいと言った、悪い意味だ。訳せば「怠け者スーザン」だろうか。これがアメリカンジョークなのだろう。

ホテルの料理に話を戻す。食事の基本は温かいものは温かく、冷たいものは冷たくして食べることだと思う。大人数だとそれが難しい。温かい料理が出すまでに冷めてしまったりする。それを何品も出されたところで、正直、食べる気がしない。反面、屋台やコーナーの料理は、並んで取るにも関わらず人気がある。

しかも、懇親が目的の席ではとっととと食べて酒を注ぎに行く人が少なくない。料理は前菜からメインへと進むが、ぶっちゃけ最初に腹にたまるものが欲しい。お腹も空いているのだ。チンタラと食べてるヒマはないのだ。

結果的に祝宴や懇親の席には大量の料理が余り、非常にもったいない光景が広がる。もったいないと分かっていても、食欲のわかない、食指の動かない料理を食べるのは苦痛だ。人によってはアレルギーや好き嫌いで食べられない料理もある。コース料理では個別対応は不可能なので、参加者の都合など無視して料理が供されてしまうのだ。

食事が苦痛なんて、地獄でしかない。

食べ残しなんてさせない

今日は私が属する経済団体の創立三十周年の祝賀会が札幌にて開催される。実行委員の一員として、祝宴の準備に多くの時間を割いてきた。リサーチも行った。どんな料理が食べ残されているのか、完食されているのか、自身が参加する祝宴のたびに記録して調査した。

テーマは「食べ残しゼロ」。

少しでも多くの人に食べてもらって、食べ残しを減らそうと工夫を試みるために、仲間と議論を重ねた。その結論はホテル側の「常識」からおおよそかけ離れたものとなった。

「この会費ではテーブル料理は最低でも六品はないとおかしい。」

それはあんたがたの常識でしょう?我々は食べ残しを極力減らしたいのです。テーブル料理を二品にして、あとはすべてコーナー料理。温かいものを温かいうちに美味しく食べてもらいたい。

「それでは配膳ができません。ホテルでは対応できません。」

配膳は来賓席の三テーブルだけ対応すれば十分です。あとは勝手に取りに行きます。人数分の料理だと多いから、少し減らして、その分いい食材を使ってください。

バタバタと始まった祝宴は大いに盛り上がった。すべてが終わった会場を後にするとき、食べ残しがいつもよりもはるかに少なかったのが嬉しかった。

北海道ですもん。訪れてくれた皆さんに、食の宝庫をいついかなる時でも味わって欲しいのです。