飲食店の誘惑と罠 ~スナック経営の難しさ~

投稿者: | 7月 11, 2020

目次

飲食店経営の罠

一般的に企業経営者はサラリーマンよりもお金を自由に使える。サラリーマンが使うお金の大部分は給与所得の一部である。会社役員になればそこそこ経費を使うこともできるが、オーナー経営者に比べたら金額は微々たるものである。

小規模零細企業でも、一部の経営者は一人や数人でとんでもない売上や利益を出している会社もある。タレントは最たる例だが、特許等の知財や不動産、金融、保険、各種コンサルタントと言った職種でも少なくない。知人にも月給1500万円というのがいた。知人いわく、その前月は給与が30万円だったからというが、年収1500万円だって決して安くはない。完全歩合制の営業職だと珍しくない話だ。

経営的に余裕があると、経営者は他の事業をやりたくなる。個人的な感覚だが、一番手を出すのが飲食業のように思う。ITバブルで儲けた経営者でも飲食業に手を出した人は少なくないと聞く。ただ、多くの場合、数年で撤退や売却と言った道をたどったようだ。ホリエモンもWAGYUMAFIAという飲食店を経営している。彼のことは大嫌いだが、彼の唱える飲食店経営のポイントは、腹落ちするものが多いのも事実だ。

通販事業とスナック

というのは、私自身もかつて飲食に手を出したことがあるのだ。二十年前、数千万円をかけて、全国の名品を探し出し、ネットで販売する事業を手がけた。十年頑張ったが、リーマンショックを機に撤退した。その後、まもなくネットでの名品販売に火がついた。

時代が早かった。

スナック イメージ

スナック経営にも手を出したことがある。これは難しい。スナックのママは共同経営者であったが、彼女の意見を尊重して口を出さずにいた。私がスナック経営をしていることを周囲には黙っていたが、店の評判はだんだん悪くなり、馴染みの客からぼったくるようになり、最後はママに男ができて完全におかしくなったので、手を切った。

幸い損はしなかったが、儲けも出なかった。その後、景気が急回復した。完全に手を出すタイミングを誤っていた。

ただ、スナックの経理はすべて自分で行ったので、飲食店経営を経験できたのは貴重だった。毎日の伝票の束、一枚一枚の注文内容、女の子の給料、仕入れなど、水商売と呼ばれる所以を体感した数年であった。

飲食事業の誘惑

以後、私自身は飲食店経営に手を出す気持ちがなくなった。関わるとすればコンサルティングだろう。もしくは調理師免許を持つ妻と一緒に小さな店を出すとか。自分の店なら人件費がかからない。私も妻も飲食店で働いた経験を持っているから、なんとかなるだろう。料理は好きだし得意でもある。ただし、人を使うのは苦手だ。人見知りもするし、基本的に人間はあまり好きではない。一人が好きだ。接客業や営業には向かない性格なのである。

自分自身で飲食店など、できればやりたくないのだが、会社をクビになったら、最終手段はこれしかないだろう。

兵庫県加古川市に住む知人は、精肉店を経営している。事業は順調で、かなり儲かっているようだ。以前から、自分が理想とする飲食店を経営したいと話していたが、この二年ほどで焼肉店、ラーメン店に割烹までオープンさせたやり手である。忘年会とオープン祝いを兼ねて、全国から数名がお祝いに駆けつけたのであった。