この国の将来の話

投稿者: | 7月 11, 2020

夜に始まった会議は開始が遅れた上に、予定を大幅に過ぎて終了した。意見が何も出なくてシャンシャンと終わる会議は楽だが、感動がない。参加者から和気あいあいと様々な建設的、前向きな意見が議論されて、議案書がブラッシュアップされていくさまは気持ちがいい。

会議の中でひとりが淡々と現状を憂いていた。全国各地500カ所ほどに商工会議所が設置されている。日本では明治時代に商工業を営む経営者の声を取りまとめ、政府に提言するために設立されたのが始まりだ。全国の会議所の代表は会頭である。年に数回ほど、提言をまとめるために、全国の会頭が東京に集まって会議が開かれる。

しかし、会頭の大半はおじいちゃんだ。会議中に寝てる人もいれば、代理を出席させる人もかなりいる。人生も残り少ないから、提言など関心がない。権限を持っているのはこうした人達なのだ。結局、会議所の職員が必死で作り上げた議案を、大した議論もせず、追認するだけの機関に成り下がっている。

会議所の職員は経営者ではない。経営者の声をナマで聴くこともなく、事業を立案し、実行しなければならない。役所と似た構図だ。これでは政府に中小企業経営者の声は届かない。実際、中小企業の産業振興について語れる政治家は国会にいないのだ。

かつて、政府は消費税を上げるたびに、全国の商工会議所を束ねる、日本商工会議所の会頭と事前に協議して、承諾がなければ税率を上げることができなかった。それが安倍政権では会頭無視だという。それだけ会議所の影響力が無くなってしまったのだ。まともな提言のできない機関の話など聴く必要がないと政府が判断したのだろう。

この国はどうなってしまうのだろうか。