加古川駅からタクシーに乗った。運転手は70歳くらいだろうか。よく喋る人だ。
「あの警察、ホンマ頭にきますわ。駅の横断歩道で一時停止の取り締まりしてます。あそこは標識が分かりにくくて、地元の人じゃないと知らないから、よそから来た車が軒並み捕まってますわ。」
交通事故を減らすのなら警官が堂々と道路に立てばいい。そうすればよほどのバカでない限り違反などしないのだが、それでは警察の売上がなくなるからか、隠れて取締をしている。やってることがおかしいと運転手はこぼしていた。
目の前の交差点を、一台のタクシーが飲食店の駐車場をショートカットした。
「あー、あのタクシー、あかんわ。あのドライバー79歳や。全然、働かん。七時に会社来て、12時に帰るんですわ。」
同じ会社のタクシーらしい。批判が続く。それは会社の話にも及んだ。
「うちの社長、全然やる気ないんですわ。朝10時に会社来たら3時には帰る。夜まで会社で電話番せな客が取れません。」
へー。社長いくつ?
「47歳ですわ。会長がおった頃は会社もキチンとしてたんですが、息子と折り合いが悪くて、孫に譲ったんですわ。それが全然働きません。」
すごいね、それでよく潰れないですね。
「普通、一ヶ月も会社を無断欠勤したら、連絡くらいありそうなもんですわ。それが何もないどころか、クビにもなりません。」
ノンビリしてますね。
「社長も、子供がなんや、スポーツの大会が九州であるゆうて、突然、10日間ほど休むんですわ。一度、社長に色々といったんですが、あなたが社長やってくださいよ〜って言われて終わりですわ。何言っても黙るだけで、やる気ゼロなんですわ。」
でも、潰れないんですからすごいですよね。
「奥さんが店番してくれたらええんですが、看護師やってるんで、会社のことは何もしないんですわ。」
じゃあ、会社に来たこともないの?
「来ますよ。お昼になると買い物に行く言うて。そしたら社長も奥さんについて行ってしまうんですわ。」
ホントによく潰れないね。すごい会社だね。
「潰れたら困りますわ。こんないい会社。一ヶ月会社を休んでも、何も言われんのですから。」
さっきのは自分の話なんかーい。不思議な会社もあるもんだ。よほど資産があるのだろうか。
50年ほど生きていれば、いろんな経験をするものだ。さほど破天荒な生き様だとは思わないのだが、あまり他人が知らないことを見知ってきたらしい。そんな私の人生の切れ端でも誰かの役に立つかもしれないなら、記録として残す価値はあるかもしれないなどと考えながらブログを更新している。(詳しく読む…)