北海道でメシを食うなら

投稿者: | 7月 11, 2020

北海道は食材の宝庫だ。特に北の海で獲れる食材は美味いものが多い。カニ、エビ、いくら、ウニなど。内地では獲れなくなった食材を北海道産で代替しているものもいろいろとある。シャコが代表格だ。またホタテやカキも有名だ。

北海道で食事をするなら、まずは札幌になるだろう。北海道の人口の三分の一は札幌市なのだ。日本でも東京以北で最大の都市は札幌であり、世界的にも冬季オリンピックを開催できる大都市は札幌くらいなのだそうだ。但し、札幌は物価が高い。ススキノで飲み食いすればあっというまに金が飛んで行く。面白い店もたくさんあるが、その分、お高い。バニーコスプレガールズバーで有名なミリオンもその一つだ。

話がそれたが、私が言いたいのは、札幌は北海道の全部が集まっている街だが、札幌市自体には生産能力があまりない。食材はすべて全道から集めているのだ。札幌市は海に面していないし、牧場もない。同じような条件の街は石狩平野に点在している。つまり、札幌近郊の街で食べられる食材は札幌で食べるものと変わらないのだ。

例えば、岩見沢。玉ねぎの一大産地だ。
例えば、美唄。焼き鳥が有名だ。

いずれも札幌から特急で30~40分程度の小さな町だ。もちろん、寿司屋もある。安くてうまい。ススキノで食べるのがバカらしくなるくらいの値段で食べられる。安い居酒屋でも、食材のレベルの高さに驚かされるのが北海道なのだ。

小さな街でも深夜までやっている締めの食事店はある。あ、美唄では締めの焼肉屋が火事で燃えてしまったらしい。スナックも高い酒を入れなければ安く飲める。ススキノの半額以下だ。ただし、小さな街と言っても人口数万の都市でなければならぬ。上砂川や歌志内のように、人口が四千人を切っている、ガチで小さな町には本当になにもない。いやいや、田舎なんだから農家があるでしょう、という固定観念を打ち砕くのが上砂川町だ。ある町民は言った。

「ここは石炭も人もずり場だ。」

ずりとは、炭鉱で採掘された低カロリー、つまりよく燃えない、商品にならない石炭のことだ。それを捨てる場所がずり場だ。上砂川町のずり場は閉山して50年経っても、未だに火が消えずにいる。雨が降ると湯気が立つのでよくわかる。「人のずり場」とは、炭鉱が閉山されて行き場の無くなった人間が食い詰めてここに来たという話だ。

数年前に、砂川市の国道で、2台の酔っ払いがレースをして軽自動車にぶつかり、乗っていた4人が亡くなる事故があった。軽自動車に乗っていたのは歌志内市民。逮捕された二台の車の酔っ払いは上砂川町民だった。逮捕された一人の奥さんは地元でPTAの副会長を務めていたが、辞任して町外に引っ越してしまったとのことだ。

もちろん、田舎だからきらびやかさはない。それはススキノで味わえばいいのだ。