私は中学生の頃から眼鏡をかけている。両目とも近視だが、いわゆるガチャ目だ。中一の頃に、同じクラスだった諏訪というやつに、突然右目を殴られてから視力が落ちた。
いわゆるイジメだ。
それから何度、メガネを買っただろうか。十回以上は買っているだろう。一番印象に残っているのは、ジョン・レノンというか、今風にいうとハリーポッターと言うか、あんな丸メガネをしていた時期があった。今は亡き、新宿さくらやで買った記憶がある。
ある日、実母の祖父が戦前に出版した本が出てきた。そこには同じような眼鏡をかけた祖父の写真が掲載されていたが、生き写しのように私と似ていたので、妹がやたらと気持ち悪がっていた。
そのメガネが壊れて、沖縄の東江メガネで同じようなフレームを買ったら、全部で7万円もした。
高かった。
その割にはすぐ壊れてしまったので、南行徳のダイエーで急いでメガネを作った。四十代半ばの頃と思う。今はこのときに作った眼鏡をかけている。私より少し若い店長は、すでに老眼が入ってると話していた。
「次に眼鏡を作るときは遠近両用になりますよ。」
そう断言されたが、次に買ったのはJINZの普通のメガネだ。
安かった。
気に入っていたのだが、熊本県人吉の球磨川で妻とラフティングをしたときに、水中に没してしまった。自宅に戻る途中で、鹿児島中央駅のアミュプラザにあるZOFFで眼鏡を作った。見えないので妻にフレームを選んでもらった。
しばらくは気に入って、ウルトラセブンのようなこのメガネをかけていたが、札幌のZOFFで度を直したところ、遠くはよく見えるのだが、パソコンの画面が見えなくなってしまった。
老眼だ。
それでダイエーで買ったメガネを常用し、遠くを見るときはZOFFのメガネをかけていたが、ついにはパソコンの画面も見づらくなってきた。
老眼だ。
同じ歳の知人がFacebookで遠近両用眼鏡の便利さと素晴らしさを語っていたので、私も買おうと決めてきたが、時間がなかなか取れなかった。
そんな折、メガネスーパーのビジネスのドキュメンタリー番組をたまたま観た。
興味深かかった。
新興のJINZらとは一線を画したビジネスモデルで復活を遂げた。主要顧客層のシニア世代に特化した品揃えと検査体制。検査項目は他社の二倍以上だと言う。
これだ。
思い出した。若い頃に池袋のメガネスーパーで作ったことがある。バブル世代には馴染みのある店だ。ところが沖縄にはメガネスーパーがない。
どうしよう。
幸いなことに最近は月に数度の東京出張がある。特に八重洲近辺に行くことが多い。ここにメガネスーパーがあった。たまたま新幹線の乗り換えに時間があったので、訪れてみたのだ。
検査には一時間かかった。単一の度だけではなく、距離ごとや視線まで計測した。実は両目の視線は微妙にズレていて、これをプリズムで補正すると視線が揃って見やすくなるという。
さらに遠近だけでなく、近近や中近など、様々なレンズがあることに驚いた。結局、中近のニコンのレンズにオリジナルフレームで94000円。これに保険をかけると112000円だ。iPhoneXと変わらない価格だ。
夏のボーナスはこれで消えたな。
さて、このメガネの見え具合、とても楽しみだ。
50年ほど生きていれば、いろんな経験をするものだ。さほど破天荒な生き様だとは思わないのだが、あまり他人が知らないことを見知ってきたらしい。そんな私の人生の切れ端でも誰かの役に立つかもしれないなら、記録として残す価値はあるかもしれないなどと考えながらブログを更新している。(詳しく読む…)