サイコロの目の確率 日本の中小企業が持つ技術

投稿者: | 7月 11, 2020

サイコロの1〜6の目が出る確率は同じだろうか。多くの人が「同じ」と答えるだろう。私もそう思う。ところが、実際には違うらしい。この日読んだ記事に書いてあった。

サイコロは立方体のそれぞれの面に数字を掘る。目の数が多いほど、その面は軽くなる。裏側同士のペアは1と6、2と5、3と4だ。6の目は数が多いが、1の目は大きい。3と4は目の数があまり変わらない。対して2と5は目の数が倍以上異なる。そのために、2と5が他の数字よりも出やすいというのだ。

そこで、重心を正確に計算して、すべての目が完全に同じ確率に出るサイコロを作った企業が埼玉にある。しかもわずか14名の中小企業だ。チタン製のそのサイコロは、高価にもかかわらず相当売れたとのことだ。

それだけに飽き足らず、極小サイコロの製作にチャレンジして、今では0.1ミリ角のサイコロを金属を削って作ることができるとのこと。これができる企業は世界中にもほとんどないそうだ。

なぜ、日本の中小企業がこんな技術を持っているのか。かつては大企業が持っていた技術が、コスト削減や生産拠点の海外移転等で失われていったとのこと。大企業は技術を捨て、効率性を取ったために、高度な技術は中小企業に発注するように、生産体制を変えたのだという。

しかし、中小企業が技術を発展させたり、温存することはなかなか難しい。そこで、普遍的な造形物である「サイコロ」をテーマに、微小加工に挑戦し、自社技術のアピールと研鑽に努めているとのことだった。

とはいえ、世界で唯一「痛くない針」を生産している会社も1~2年後の廃業を決めたという。社長はすでに84歳で後継者もいないそうだ。

少子化による労働人口減少時代において、どうやって技術を伝え、維持するのか。微細加工が世界に誇る日本の工業技術であることを広め、世界中のものづくりに不可欠となることが、経済発展のためにも重要なのだと、改めて思う。