実家を訪れた親子を襲ったまさかの事態

投稿者: | 7月 11, 2020

娘と横須賀に海鮮を食べ、いろいろと爆買いを終えてレンタカーを返した。駅前のブックオフで娘が用を済ませた後に、両親がいる実家へと向かう。娘は今年の正月に来て以来だ。

実家に着き、ドアを開けると母がものすごく驚いた顔で私を見た。続いて母が発した言葉に私は耳を疑った。

「あんた、なんで来たの?」

別に私は両親と仲が悪いわけでもないし、東京出張の折には度々泊まりに来ている。家の奥から父の声が聞こえる。

「ほら、だから今日来るって言ったじゃないか。」

母には娘とこの日に来ることを事前に伝えていた。その後、翌週に私が泊まりに来ることも伝えた。さらに息子が沖縄から九州に遊びに行くことも伝えた。母はこれらの情報を次のように理解したのだ。

娘は沖縄から九州に行くことになったので、私も翌週、1人で来ることに予定を変更した。

そうじゃないと母に告げると、母は改めてiPhoneのメッセンジャーを読み返して、呆れた顔で呟いた。

「あらー、ホントだ。私、どうしちゃったのかな。最近、お風呂の元栓とか閉め忘れるのよね。」

認知症をアピールしたいらしいが、風呂沸かし機のガスの元栓をいちいち閉めたり、テレビの主電源をいちいち切る人がボケてるわけなかろうが。

しかし、なぜ父は私が娘を連れて来ることを知っていたのか。母がメッセンジャーを読み上げるのを聞いていたのだろう。

両親はすでに食事を済ませたという。母にしてみれば不意打ちなので、何も準備されていない。2人とも腹がペコペコだ。仕方なく、駅前の串カツ田中で夕食をとることにして、そそくさと実家を出た。

娘は気遣う母に「おばあちゃんの顔を見れたからよかったよ。」などと声をかけていたが、もともと、妹家族と会いたがっていたのを、私が実家に行くように説得した。それがこの扱いで、日本に来てお金を使いすぎて、クレジットカードは限度額に達し、現金も残り2000円しかないとなれば、おばあちゃんからのお小遣いをあてにしていただろう。

その心象、分かることあまりある。

娘は私には小遣いをねだらないし、私も娘に小遣いを渡したことがほとんどない。だが、夏のボーナスが少しだけ出たので、妻とも話して、娘に小遣いを渡すことを決めていた。帰りのバスで不意に私からお金を渡された娘は、私に何度も念押しして来た。

「お父さん、返せとか言わないよね?間違いとか言わないよね?」

言わないよ。