青森県事情 ~いまだに続く津軽対南部~

投稿者: | 7月 11, 2020

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旧南部藩地域のインフラが脆弱なのはなぜ?

三沢空港から羽田経由の鹿児島行き。三沢空港を使うのは初めてではないが、この空港はやる気があるのかと思う。今日の便はほぼ満席とのことだ。乗客の半分はアメリカ人。三沢基地があるだけに、羽田に行く人も多いのだろう。

それなのに、保安所を抜けた先の待合室にある男性トイレは和式と洋式が一つずつだ。トイレのドアの荷物かけフックは滑り止めが無くなっているので、荷物をかけても滑り落ちてしまう。かと言って荷物の置き場所もない。いまどき、どこの空港にもあるはずの無料Wi-Fiもない。自販機は現金しか使えない。これじゃ寂れても当然だ。

旧南部藩に住む人たちは、この辺りのインフラが整備されないのは津軽の人間が巣食う青森県庁のせいだと言う。岩手県北上市から下北半島までを領有したかつての南部藩と、弘前藩と黒石藩の二つを指す津軽藩の仲はすこぶる悪い。

津軽と南部の対立は500年前に始まった

ことの原因は戦国時代に遡る。もともと青森県全域は南部氏が治めていたが、豊臣秀吉の時代に津軽藩がその土地にいた南部氏を滅ぼすことで独立した。これが秀吉にも家康にも認められて津軽藩が確立したことから、対立が始まった。明治時代初期にも遺恨を残すような事件があり、今に続いている。

みちのく道路
青森市と八戸市を結ぶ道路

実際に青森空港から八戸まで車で走ったが、鉄道は新幹線も通っているのに、道路はひどいものだ。有料道路はぶつ切りで、国道四号線は大回りだ。何度も料金所を通るが、大部分でETCはおろか、クレジットカードも使えない。

青森県を旅行するなら、青森県東部へのアクセスは欠かせない。入口が八戸だろうと弘前だろうと、必ず横のラインを通ることになるのだ。北海道の山奥ならいざ知らず、県内主要都市を結ぶ高規格道路がないなんて、他県の人間には理解できないものがある。