投資助言事業の闇とサイバーテロ

投稿者: | 7月 11, 2020

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投資助言事業の闇

知人から興味深い話を聞いた。投資助言事業で荒稼ぎしている人物の話である。ここ数年、FXや株式投資に関して、独立系、言ってみれば個人で投資アドバイザーをしている業者が増えているとのこと。お金を扱う人は真面目な人から怪しい人まで様々。サラリーマンとはまったく違う世界で稼いだ人たちの投資顧問となる会社、というのがあるそうだ。

どうやって稼いだ人たちなのか。多くは仮想通貨で一儲けした人らだとか。簡単に五万円が十万円に、五十万円が百万円になる経験をした人は、コツコツ稼ぐ真面目な投資信託など、とてもやってられない。そこに着目して、業界のインサイダーギリギリの情報を提供し、株を売買させる怪しい業者が東京にはうごめいているのだとか。

株価というのは買い手が多ければ上がる、売り手が多ければ下がる。株を買いたい人は値上がりを期待して買うものだ。どの株が値上がりするのか、判断は難しい。ところが、内部情報があれば確実な値上がりが期待できるので、発表前に買って、値上がりしたら売って儲ける。情報の入手方法は知らないが、このような内部情報を顧問先に流して一儲けさせるアドバイザーがいるのだとか。

跋扈する無届業者

ところが、タチの悪い業者は、情報を流す前に自分たちで株を買い、情報を流して客が株を買った後に売ってしまうのだとか。その情報の正確性は分からないが、株を買う客が増えれば確実に値上がりする、プチ株価操作をして儲けているのだと言うのだ。

このような投資助言の業務は金融庁への届出が必要である。無届営業は違法である。ウェブサイトには無届業者が公表されている。

なぜ無届で行うのか?違法行為をするためである。怪しい業者は無届の会社を作っては客の金で違法行為を行い、金融庁にバレる前に飛ばすのである。飛ばしとは、会社を売ったり潰したりしまうことだ。無届会社の寿命は三ヶ月ほどのため、このような業者は四半期ごとに会社を用意するとのことだ。

ちょうどドラマSUITS(スーツ)の最終回で、顧問先の会計事務所が頻繁に会社を作っては潰す手法で、コンサルティング料を上乗せしていたが、あれと似たようなものだ。

具体的に違法行為とはなにか。株を買わずに買ったことにして、会社を潰す。客は泣き寝入りだ。にも関わらず、このような会社が無くならないのはなぜか。世の中には表に出せない金を増やしたい人がたくさんいる。

ヤクザ?
暴力団?

半グレと脱税とシェアハウス

いやいや、法律や警察の締め付けで、今やヤクザも暴力団も貧乏だ。こういう金を持っている人は二種類に分かれる。半グレと脱税。現代社会で金を持っているワルは、なんの規制も縛りもない半グレたちなのだ。

スルガ銀行の不正融資で問題になったシェアハウスなどは、不動産業者と銀行がグルになって、合法的に不動産を異常な高値でクライアントに売りつけて大儲けしたそうだ。詐欺行為には問われないが、脱法行為である。このような不動産業者がまともに税務申告するわけがない。濡れ手に粟で稼いだ金は、たくさん手元に残しておきたい。

過少申告など実に簡単だ。

会計ソフトで数字をチョチョっと操作した申告書を税務署に提出するだけだ。ごまかしたあぶく銭を手っ取り早く増やすのに、アングラアドバイザーは最適だ。裏を返せば騙されても文句の言えない金だ。

しかし、脱税の代償は大きい。バレれば増やした金ごと国税に持っていかれる。日本のマルサは優秀だから、そうそう見逃してはもらえない。羽振りが良かった奴が、急に金回りが悪くなったりするのは、国税に調査されたから、なんてことは世の中では珍しくない。

悪徳業者とサイバーテロ

それだけではない。顧客名簿を外部に売ったり、あの手この手の違法行為で金を稼ぐ奴がいる。会社の情報を売るのはたいがい社員だ。ロクでもない会社に集まるのは、食い詰めた社員と相場が決まっている。まともなやつは、ヤバイと感じた時点でさっさと辞めるか逃げるかする。

会社のデータを売り切ってしまったら、海外のサイバーテロ業者に金を払い、同業者の顧客名簿を入手する。この手の仕事はオフショア(海外に発注すること)の方が安いし、腕も立つし、警察からも睨まれない。北朝鮮や中国の朝鮮族あたりが有名だが、フィリピンにもそれなりのサイバー犯罪者がそろっているそうだ。

25年ほど前、バブルが弾けた後でも東京では情報技術者が圧倒的に足りず、暴力団のフロント企業がソフトウェア技術者の派遣会社を経営していたことがあった。社員から聞いたのだが、技術者の間では有名な話だったらしい。オフィスの雰囲気がおかしいので、よほど事情がなければ、だいたいの社員はすぐに退職してしまうのだと話していた。

同時期に急激に売上を伸ばした同様の会社は、オウム真理教が経営する、社員の大半がオウム信者の会社だった。信者には理系の人間がかなりいたのだ。

いつの時代でもワルはいる。これも日本経済の一部なのだ。