高齢化が他人事だった時代~バリアフリーについて思う~

投稿者: | 7月 11, 2020

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バリアフリー

私は出張の時、容量72リットルの大きなスーツケースを持ち歩くことが多い。重量は十キロ以上。中が詰まっていると20キロになる。これを持って階段を上り下りするのはさすがに厳しいので、エレベーターやエスカレーターを使うことになる。否が応でも「バリアフリー」を意識することになる。

ところが、中にはスロープすらなく、階段オンリーのために、必死で荷物を運ぶことも少なくない。まず、二階建て新幹線。以前に書いた通りだ。次に新宿駅。京王線からJRに乗り継ぐ時や、中央口から埼京線に乗る時、階段しかない。拷問だ。そして京都市営地下鉄。世界的観光都市の地下鉄のくせに、京都駅も四条駅もバリアフリーが考慮されてるとは思えない。

東京都心の駅が大きくなった頃、高架化された頃は高度経済成長の頃だ。若者が多く、年寄りが少なく、駅は階段だけでも問題がなかったのだろう。私も若い頃は普通に階段を上り下りしていたし、それが当たり前だと思っていた。今でも荷物がなければ、別に階段でも構わないのだが、五十年前の若者は、いまや後期高齢者だ。

高齢化が他人事だった時代

当時、エスカレーターやエレベーターが必要になるとは思ってないから、そのためのスペースがない。後から無理くり設置するので、エレベーターに乗るためにホームの端まで歩かされることも少なくない。高さ1メートルを上下するだけのエレベーターは笹塚駅にある。最初に見たときは、こんなの必要かと思ったが、今ではしっかりと利用している。

北海道の地方に行くと、いまだに階段しかない駅がある。小さな駅ではない。特急の停まる駅だ。これでは鉄道を利用する気にならない。バスは荷物をトランクに預けられるし、レンタカーなら小回りが利く。新幹線のように車よりも高速で移動できるメリットがなければ、鉄道を避ける人が増えるのは当然だと思う。

客が減れば設備投資ができない。地元住人だけなら確かに採算も取れないだろうが、そこにインバウンド、つまり外国人観光客が来た。他所から人を受け入れるチャンスなのだ。しかし設備が整っていない。こんなことは想定していなかった。今さらながら設備投資をしたところで、完成した頃にはよそに客を取られてしまっている。

インバウンドは突然来たわけではない。徐々に増えて、ある時点で爆発的に増えたのだ。時代を見越していたところは設備投資をしっかりとしていた。外国人にとってのもう一つのバリアは言葉だ。オリンピックまでに二つのバリアフリーをどれだけ手掛けられるのだろうか。

実は外国人には第三のバリアもあるのだが、またの機会に。