できない仕事を引き受けた社長の末路

投稿者: | 7月 11, 2020

目次

仕事の基本

二十歳の頃から三十年ほど仕事をしてきた。IT業界から不動産への転職した今でも、ユーザーとしてITシステムを発注する立場である。いろんな仕事をしてきたが、ざっくり言うと、IT業務についていえば、大企業との仕事はほとんど問題ないのに対し、ベンチャー企業や中小企業との仕事はトラブルも多く、長続きしなかった。

何故だろうか。

理由はひとつ。ベンチャー企業や中小企業のエンジニアは、仕事の基本ができていないのだ。報連相ができない、工程管理ができない、基本的なコミュニケーションが取れない。 趣味や研究の延長線上で仕事をしている人物がほとんどだ。いわゆる「エンジニアリング」を学んでいない。まあ、日本の教育機関では教えることがほぼ無理な状況では仕方がないのかもしれないが、諸外国ではきちっと教えている。

これが日本と海外で人材に差が開いている原因だ。日本の教育機関は学術主義なので、エンジニアリングを軽くと言うか、下に見ているからだ。

エンジニアリング

大企業のエンジニアはこのあたりをみっちりと叩き込まれる。私は大企業にいたわけではないが、最初の仕事が大手電機メーカーのシステムであり、下請けだろうが孫請けだろうが、社内と同じ品質と管理を求められたので、厳しくしごかれたし、叩き込まれた。

例えば、チームで開発していてなにか問題を見つけたとき、エンジニアリングの基本は、まずは自分を疑うことだ。自分の担当した部分を検証し、問題がないと自信を持って初めて、他人や機器の問題だと断じれる。

対して、エンジニアリングを知らない人は、「自分が正しい。」という前提から問題解決に取り組むので、話がややこしくなるのだ。これは普通の仕事でも同じことが言える。不思議なことに、仕事ができない人ほど、他人を最初に疑う傾向がある。

だから大企業からスピンアウトしたエンジニアと、そうでない中小企業やベンチャーのエンジニアでは、仕事に関して常識すら異なる。これが現実なのだ。そして四十歳を過ぎた社長やエンジニアは、今さら習慣やスタイルを変えることができない。これも現実だ。この人たちと仕事をするときは要注意なのだ。

SNSとコミュニケーション

SNSで安い仕事しかしていないと愚痴をこぼしたり、多忙のために連絡がとれないなどと忙しさをアピールする人が少なくない。そのくせ「忙しい中、~に行ってきた。」と、自分の趣味を報告したりする。

こういう人物がSNSの使い方をセミナーしていたり、新しいビジネスを立ち上げるという話を聴くと、ちゃんちゃらおかしくなってしまう。どれだけ顧客を苛立たせるのか分かっていない。その上に、恐ろしく独りよがりのビジネスプランを、これこそが一番すごいんだと、シレッと言ったりする。話し方は常に上から目線だ。

コミュニケーションの取れない相手との仕事は疲れるが、相手に文句を言ったところで状況は変わらない。こんな相手を選んだ自分が悪いと諦めて、後始末モードに入るしかない。二度と仕事を頼むこともないだろう。仕事を発注するときは、経営者や開発担当のバックグラウンドを知ってからでなければ発注してはならないと、肝に命じたのであった。それが発注者責任というものだ。

他人の振り見てわが身を直せ、である。

だが、こういう仕事の仕方をしている会社は、間違いなく信頼を失い、いずれ立ち行かなくなる。社員だって社長についていけなくなるものだ。できない仕事を社員に押し付ける社長、できない仕事をできますと取ってくる社長、最後は仕事を投げるしかないのだから。